目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
最後(いやはて)におもひ残すは何ならむ
病む窓の日は二上山(ふたかみ)に落つ 奈良県 増田 福三
二上山は謀反を企てた罪で処刑された大津皇子の葬られた所。 病に伏(ふ)す作者はその二上山の落日を見ながら、皇子の最後の胸に去来した無念をわが事の如(ごと)く思いやる。 【 岡野 弘彦 選 】
病む窓の日は二上山(ふたかみ)に落つ 奈良県 増田 福三
二上山は謀反を企てた罪で処刑された大津皇子の葬られた所。 病に伏(ふ)す作者はその二上山の落日を見ながら、皇子の最後の胸に去来した無念をわが事の如(ごと)く思いやる。 【 岡野 弘彦 選 】
母よあなたの夢は私の夢でなく相容れぬまま過ぎし四十年
米子市 植村 ゆかり
母が娘に託した夢。娘が自分の人生に思い描いた夢。二つの夢が重なり合わないことも多い。「相容れぬまま」とあるが「母よ」と呼び掛けにはやさしさが感じられる。
【 栗木 京子 選 】
米子市 植村 ゆかり
母が娘に託した夢。娘が自分の人生に思い描いた夢。二つの夢が重なり合わないことも多い。「相容れぬまま」とあるが「母よ」と呼び掛けにはやさしさが感じられる。
【 栗木 京子 選 】
待つことのしあわせ思い出したくて明日咲きそうな黄薔薇を探す
平塚市 小林 真希子
花ならば、必ず咲いてくれるだろう。待つかいのあるものを、わざわざ探すという行為が、切ない。 【 俵 万智 選 】
平塚市 小林 真希子
花ならば、必ず咲いてくれるだろう。待つかいのあるものを、わざわざ探すという行為が、切ない。 【 俵 万智 選 】
火を浴びし翅うつくしや虫篝 戸恒 東人 ( とつね はるひと )
すでに息絶えたのだろうか。それとも翅(はね)を焼かれて暗がりでひっそりと息づいているところだろうか。 おそらくは蛾(が)。 果樹園などで 夜、火を焚(た)いて害虫をおびき寄せ、炎で焼き殺す。 これが虫篝(むしかがり)である。 美しくも虫たちには非常な仕掛け。 【 '14.05.29 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
すでに息絶えたのだろうか。それとも翅(はね)を焼かれて暗がりでひっそりと息づいているところだろうか。 おそらくは蛾(が)。 果樹園などで 夜、火を焚(た)いて害虫をおびき寄せ、炎で焼き殺す。 これが虫篝(むしかがり)である。 美しくも虫たちには非常な仕掛け。 【 '14.05.29 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
洗面器金魚一匹づつを競る 森田 峠 ( もりた とうげ )
金魚の糶(せり)を見たことはないが、1匹づつ競るというのだから、琉金(りゅうきん)や蘭鋳(らんちゅう)などのみごとな金魚にちがいない。きっと白い琺瑯(ほうろう)の洗面器に入れられて、目にしみ入る鮮やかさなのだろう。金魚すくいの小さな金魚は何匹もまとめて競られる。 【 '14.05.27 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
金魚の糶(せり)を見たことはないが、1匹づつ競るというのだから、琉金(りゅうきん)や蘭鋳(らんちゅう)などのみごとな金魚にちがいない。きっと白い琺瑯(ほうろう)の洗面器に入れられて、目にしみ入る鮮やかさなのだろう。金魚すくいの小さな金魚は何匹もまとめて競られる。 【 '14.05.27 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
雪形や馬・牛・狐・宇宙人 札幌市 藤林 正則
雪形として、馬、牛、狐あたりは常識的だが、宇宙人まで出て来て、驚かされた。最近発見されたものか、作者が名付けたものか。 【 小澤 實 選 】
雪形として、馬、牛、狐あたりは常識的だが、宇宙人まで出て来て、驚かされた。最近発見されたものか、作者が名付けたものか。 【 小澤 實 選 】
今年また知覧の花へ老い二人 千葉県 中村 重雄
特攻隊の基地があった知覧の桜を訪れる二人は近親者であろう。 たまたま、隊員の遺書集『いつまでも、いつまでもお元気で』を読んで、自然の情を圧(お)し殺した国家主義教育の恐ろしさを改めて感じた。 【 矢島 渚男 選 】
特攻隊の基地があった知覧の桜を訪れる二人は近親者であろう。 たまたま、隊員の遺書集『いつまでも、いつまでもお元気で』を読んで、自然の情を圧(お)し殺した国家主義教育の恐ろしさを改めて感じた。 【 矢島 渚男 選 】
君あらば普賢(ふげん)の桜色増さむ 岩手県 高橋 央朗
「君」 は恋人か、亡き妻か。 桜が普賢菩薩のように思われてきて、率直な思いにうたれる。 【 矢島 渚男 選 】
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【 矢島 渚男 選 】
癌をもつ吾に集中花吹雪 枚方市 中村 輝雄
奥山の桜の下で泣きにけり いわき市 佐川 義成
廃校の桜満開たれを待つ 東久留米市 野島 スミ
【 宇多 喜代子 選 】
花筏人もまばらになりにけり 喜多方市 小原 広子
「君」 は恋人か、亡き妻か。 桜が普賢菩薩のように思われてきて、率直な思いにうたれる。 【 矢島 渚男 選 】
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【 矢島 渚男 選 】
癌をもつ吾に集中花吹雪 枚方市 中村 輝雄
奥山の桜の下で泣きにけり いわき市 佐川 義成
廃校の桜満開たれを待つ 東久留米市 野島 スミ
【 宇多 喜代子 選 】
花筏人もまばらになりにけり 喜多方市 小原 広子
青空にけむりとなりて消えゆきぬ父の闘ひはけふ終りたり
所沢市 黒川 秋夫
父の死を歌った挽歌としてはちょっと異色の感じがするが、柄が大きく、天寿を生きとげてしずかに帰幽した父親を悼むこころが現れている。 【 岡野 弘彦 選 】
所沢市 黒川 秋夫
父の死を歌った挽歌としてはちょっと異色の感じがするが、柄が大きく、天寿を生きとげてしずかに帰幽した父親を悼むこころが現れている。 【 岡野 弘彦 選 】
球体の表面積の公式もすでにおぼろに地球儀回す
舞鶴市 吉富 憲治
わたしはむかし理科の教師だったが、それですら公式などすでにどしどし忘れてしまった。ほかの職業の人ならなおさら。 【 小池 光 選 】
舞鶴市 吉富 憲治
わたしはむかし理科の教師だったが、それですら公式などすでにどしどし忘れてしまった。ほかの職業の人ならなおさら。 【 小池 光 選 】