目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   花蕊に脚あつめたり黒揚羽   東京都  望月 清彦

「花蕊(しべ)に脚あつめたり」 の描写のたしかさ。 六本の脚が小さな蕊に集まっているわけだ。長い口の差し入れられているのだろう。       【 小澤  實 選 】


   草茂る河童の墓とのみ書かれ   我孫子市  大賀 初太

「河童(かっぱ)の墓」とは愉快。この想像上の動物には夢がある。毎日胡瓜(きゅうり)の餌で釣ろうとしている人もいる。              【 矢島 渚男 選 】


   夏が来る草間彌生の水玉に   枚方市  船橋 充子    

画家もゴッホやモディリアーニは詠まれるが、草間彌生の登場に驚かされた。 原色の強いコントラストの水玉に、たしかに夏を感じる。        【 小澤  實 選 】


   花陰の蜜蜂に指刺さしめぬ   川崎市  多田   敬

「刺されけり」なら当たり前なのに、「刺さしめぬ」と使役になっただけでこんなに味のある句に。「花陰」の甘さも生きて、蜜蜂がとても可憐な存在に思われる。
                                    【 正木 ゆう子 選 】


   子烏の骸(むくろ)に親の啼き明かす   横浜市  斉藤 山葉 

カラスの情愛の深さはよく知られているが、それを具体的に表現している。巣の下に落ちている子の死骸に一晩中、啼(な)きつづける親。     【 矢島 渚男 選 】


  少年の日松山城の椎の木に刻みしわが名いかになりけむ
                         城陽市  相原 洋次

原作の第一句「そのむかし」、結句は「咎(とが)として生く」を直した。結果は啄木調に近くなったが、私はそれでよいと思う。比較してみると啄木調の新しさがよくわかる。                                  【 岡野 弘彦 選 】


   鵜のつらに篝(かがり)こぼれて憐也   荷兮 ( か けい )

句の前書に「岐阜にて」とあるとおり、長良川の鵜飼(うかい)の句である。鵜匠の捌(さば)く綱に操られながら泳ぎまわる鵜の顔に、篝の火の粉が飛び散る。
「憐也(あわれなり)」とは健気(けなげ)なことだという思いと美しいなあという感嘆が入り混じる。荷兮は名古屋の人。  【 '14.06.23 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


    寝返りぬ夜鷹のこゑに応ふべく   みよし市  稲垣  長

キョキョキョキョ。夏の夜、夜鷹の鳴き続ける声が耳について眠れない。いっそ その方へ寝返りを打って、耳を傾けることにするか。         【 正木 ゆう子 選 】


   先頭から滝に出会ひし声あがる   町田市  風間 良富

遠足か、集団登山か。 滝を見つけた先頭から歓声が上がる。 「先頭から」 の、 ありのままの描写によって確かな作品になっている。      【 矢島 渚男 選 】


   丿乀と鮎とび上がり瀬を上がる   豊橋市  河合  清

「丿乀(へつふつ)」とは漢和辞典には「舟などが揺れ動くさま」とあるが、瀬を上がりゆく鮎(あゆ)の描写にまさにぴったり。勢いのあまり、流れを躍り出る鮎の姿が見えてくるのだ。                              【 小澤  實 選 】


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