目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   甚平の義足戦争知ってをり   東京都  山口 照男

甚平を着た膝の下から義足が見える。 戦争で片足を失った傷痍 (しょうい) 軍人なのだ。誰よりも戦争の無惨を知る人にちがいない、という。  【 矢島 渚男 選 】


 緑樹伐り殺(そ)ぎ落とされし俘虜(ふりょ)の肉   帯広市  吉森 美信

シベリヤ抑留時代の体験を怒りをこめて詠い続ける作者。森林の伐採作業中に倒れてきた木で肉を削られた仲間もいた。 多数の死者を出した国際法に反する捕虜虐待の責任はどうして追及されないのか。        【 矢島 渚男 選 】


   首振つて嫌がる毛虫焼きにけり   青梅市  青柳 富也

可哀想だが、俺はお前を焼かなければならない。 「首振つて」の描写がいい。今年は毛虫が多い。                           【 矢島 渚男 選 】


   石にふる雨うつくしく半夏生   枚方市  菅原 イツヱ  

俳句ではあまり歓迎されない「うつくしく」が一句の邪魔をしていないところがいい。半夏生のころの雨の透明感が伝わってくる。         【 宇多 喜代子 選 】


   夏ぐみを蟻吹きながら摘みにけり   南房総市  平嶋 共代

「蟻(あり)吹きながら」がとても具体的。特に「吹く」がいい。吹いて落とせるくらいの小さな蟻なのだ。蟻を登場させることで、茱萸(ぐみ)がいきいきとクローズアップされる。                                  【 正木 ゆう子 選 】


  世にあらばいつか逢はむと言ひ交はし言ひ交わしつつきみも逝きたり
                             上尾市  大平 丈一

こういう間柄もまた、美しくかなしい。 「きみ」 が男性か女性か、微妙な心ゆらぎがあとに残る。                             【 岡野 弘彦 選 】


   大きいの一回できたシャボン玉         
        東京都 江東区立第六砂町小学校3年  一沢 佑樹

いそいで息を吹(ふ)きこむと、シャボン玉はすぐに割れ(わ)てしまいます。こわれないようにゆっくりと吹きこまなくてはなりません。限界(げんかい)ぎりぎりまでふくらませるにはコツがいるのです。 失敗(しっぱい)も重ねながら、ようやく満足(まんぞく)のいく大きさになった「一回」、どんなにうれしかったことでしょう。 十七音の言葉の上に 「うれしい」とは書いてありませんが、その気持ちはひしひしと伝(つた)わってきます。
                 【 ’14.07.05 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   蟻の列軍靴の音のきこえけり   水戸市  中崎 正紀 

蟻(あり)が列をなして動いているところから、軍靴のかつかつという音までの距離を感じさせない、怖い句だ。人の耳には届いていない音を蟻はすばやく聞いている。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   打水や石の凸凹明らかに   堺市  平野 理就

凸凹が味を出している庭石だろう。そこに水を打つ。水の溜まり具合や色の変化が石の凸凹の変化を際立たせる。                【 宇多 喜代子 選 】


   蛸仕分け蛸絡らみあふ格闘す   三重県  高瀬 麻加

生きている蛸(たこ)を大きさによって、仕分けしている。 しかし、絡みあう蛸を引き離すのが、たいへん。 蛸の群れと格闘するしかないのだ。 この蛸食べたらおいしいだろう。                                【 小澤  實 選 】


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