目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   片羽燃えて這いあるきけり夏の虫   蘭更 ( らんこう )

夏の夜、明かりに集まってくる虫は うるさいものだ。 とはいえ 照明が電気ではなく蝋燭(ろうそく)や灯明の炎であった時代は、虫も命がけだった。 この句、思い切り火中に飛びこんで羽を焼かれてしまった蛾(が)だろう。彼らを火蛾(かが)とも火取り虫とも呼ぶ。           【 '14.07.19 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
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   鵜のつらに篝(かがり)こぼれて憐也   荷兮 ( か けい )

句の前書に「岐阜にて」とあるとおり、長良川の鵜飼(うかい)の句である。鵜匠の捌(さば)く綱に操られながら泳ぎまわる鵜の顔に、篝の火の粉が飛び散る。
「憐也(あわれなり)」とは健気(けなげ)なことだという思いと美しいなあという感嘆が入り混じる。荷兮は名古屋の人。  【 '14.06.23 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】

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   火を浴びし翅うつくしや虫篝   戸恒 東人 ( とつね はるひと )

すでに息絶えたのだろうか。それとも翅(はね)を焼かれて暗がりでひっそりと息づいているところだろうか。 おそらくは蛾(が)。 果樹園などで 夜、火を焚(た)いて害虫をおびき寄せ、炎で焼き殺す。 これが虫篝(むしかがり)である。 美しくも虫たちには非常な仕掛け。             【 '14.05.29 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】 

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   凍蝶(いてちょう)も焚いてしまつたかも知れぬ   仙田 洋子

落ち葉を焚きながら思ったものだ。その中に凍えた蝶がまぎれていたかもしれない。翅をたたみ、もはや飛ぶこともない。かといって命がないわけではない。魂だけが飛び立ってゆくのをじっと待っている、ひとひらの落ち葉のような冬の蝶。
                      【 '08.12.01 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


   片羽燃えて這いあるきけり夏の虫   蘭更 ( らんこう )

夏の夜、明かりに集まってくる虫は うるさいものだ。 とはいえ 照明が電気ではなく蝋燭(ろうそく)や灯明の炎であった時代は、虫も命がけだった。 この句、思い切り火中に飛びこんで羽を焼かれてしまった蛾(が)だろう。彼らを火蛾(かが)とも火取り虫とも呼ぶ。             【 '14.07.19 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


   空の上みんなで動く夏の雲
           東京都 墨田区立小梅小学校3年  楠 みさと

「みんなで動く」は、たくさんの雲が風に押(お)し流(なが)されて空を移動している様子を言い当てた表現(ひょうげん)です。夏の雲のダイナミックな動きを捉(とら)え、3D映画を観(み)るような迫力(はくりょく)があります。
                 【 ’14.07.19 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   父とゐて母が加はるところてん   米子市  杉原 徹勇

父といたところへ母が加わる。なんの不思議もない景だが、それだけで妙に完結した座の景になる。心太(ところてん)の誘う世界だ。        【 宇多 喜代子 選 】


   炎天やもろもろのもの小さくなる   千葉市  小林  昭

あたりが白っぽく見えるような炎天下。音も遠くなり、あたりのものがみな遠く見える。そんな炎天の眩暈(めまい)がとらえられている。        【 宇多 喜代子 選 】


   青きトマトに雨粒のきらめけり   名古屋市  大島 知津

畑のトマトがいつか大きくなっている。 ただ、まだ青い。 食べもの以前の青いトマトについている雨滴のきらめきに息を呑んでいる。           【 小澤  實 選 】


  拾ひたる猫にお豆と名を付けて遠く住む友すこやかに老ゆ
                          青森市  安田 渓子

ペットは何よりの友。 とりわけ老境になっては。 お豆という名前が これも具体的で生きている。おそらく一人暮らしの方。               【 小池  光 選 】


  葉隠れの苺を摘めば潜みゐし蜂を起こしぬ蟻も雫も
                        鎌倉市  中江 優子

葉隠れの苺(いちご)を摘んだら蜂が飛び出し、それにつられて蟻(あり)が走り、葉から雨滴もこぼれ落ちた。次々に伝わる動きは、まるで歯車が回るよう。 躍動感に満ちた光景である。                         【 栗木 京子 選 】


  ようやくに捨てる決断ゆるがねば思い出の赤いヒールよさらば
                        東松山市 嘉藤 小夜子

要らないものをあっさり捨てられる人と、愛着心が強くてなかなか捨てられない人といる。やっとの思いで決心がついた。高いヒールの真っ赤な靴。 【 小池  光 選 】

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【 川柳のらりくらり( 週刊文春 '14.07.17 ) 】 

  カビ生えてやっと捨てれるハイヒール  ( 大阪府 りくりく 59歳 ) 
      やっと思い出にもカビが生えましたね。


   風鈴はかざるだけでもすずしいな 
       東京都 東村山市立北山小学校6年  茂出木 菫

常識(じょうしき)とは少しだけ違(ちが)うことを言ってみると、人の関心(かんしん)を引く表現が生まれます。この句はその良(よ)い例(れい)です。常識では、風鈴(ふうりん)とはその音を聞いて涼しさを味わうもの。 ところが作者は、風鈴をつるすだけでも、じゅうぶんに涼しい気分になると言っているのです。 特に、ガラス製(せい)で、魚や花の絵が描いてある風鈴は、見た目も涼しげです。 きっと音も涼しげだろうという予感がしますね。    【 ’14.07.12 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


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