目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   落葉して空高くなる広くなる   三条市  星野  愛

夏の茂り、秋の紅葉、そして落葉。木の変化は空の変化でもある。そんな発見の句。                                【 宇多 喜代子 選 】


   初霜や東京遠き八王子   八王子市  大串 若竹

八王子は東京都南西部の市。 おなじ東京都内でも都心にたどりつくには時間がかかる。 それを「遠き」と大袈裟(おおげさ)にとらえたところに実感があるが、なんとなくおかしい。                           【 宇多 喜代子 選 】


   雨にぬれ木の葉の落ちる音止まず   宇都宮市  宮本  洋

黄葉した木の葉が雨に濡れた重みで落ちやまない。 その音を聴いている、 という淡々とした句に秋の淋(さび)しさが滲(にじ)んでいる。    【 矢島 渚男 選 】


   もう群れずともよし汝(なれ)も冬の蜂   羽村市  竹田 元子

「もう群れなくてもいい」 と自分に言う。 そして傍らの死を待つばかりの冬の蜂に 「お前も、もう群れなくてもいいんだよ」と言う。自然との孤独な対話である。  
                                   【 矢島 渚男 選 】


  駅伝の中継で見るそれぞれの地域の今日のガソリン価格
                     仙台市  岩間 啓二

生放送の醍醐(だいご)味は、こんなところにも。 知ったところで、さほど意味のないものをとりあげているところが、いい。なんとなく目に入ってしまう感じがよく出ている。リズムのよさも魅力だ。                        【 俵  万智 選 】


   落葉掃くとなりの隣りのとなりまで   東京都  斎木 百合子

自宅の前の落葉を掃きよせようとして箒(ほうき)を使っているうちに三軒先にまで来ていた。日本ならではの近隣生活をとどめた句。        【 宇多 喜代子 選 】


   熊楠の死守せし杜よ霧深し   川越市  益子さとし

南方熊楠( みなかた くまぐす )は明治の生んだ植物学から民俗学にわたる大学者。彼は明治政府の神社合祀(ごうし)令に猛然と反対し、植物の宝庫でもある神社の杜(もり)を守った。その鬱蒼たる杜を前に立った。    【 矢島 渚男 選 】


ひそやかに辺野古岬の空澄みぬ   八王子市  福岡  悟

いま基地問題の焦点になっている沖縄の岬。 「へのこ」 は男性性器の意味で、 古代日本語とも共通である。人々はこの地名を愛(め)でて大切にしてきたのではなかろうか。                             【 矢島 渚男 選 】


   聴衆の五割は眠し文化の日   栃木県  あらゐ ひとし

文化の日の公演を聴いている人の半分が飽きて眠い。後の半分が熱心に聞いているとは思えない。文化の日の文化とはいったい何だろう。   【 小澤  實 選 】


  ようやっとエサが帰宅とのびをする猫は思い切った省略をする
                         東京都  関根 ともみ

わたしはエサではない、エサを与えるひとである、という飼い主の自尊心。その表現としての下の句が面白く、しかも猫側にたった解釈になっているところに愛情が感じられる。                                【 俵  万智 選 】


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